複数あるパワーアンプをどう繋ごうか・・・。
今まではパワーアンプにあるブリッジ接続を使ったり、パワーアンプから複数のスピーカーに繋いだりして使っていました。
そんなタコ足配線みたいなことをしているとパワーアンプ本来の性能が発揮できませんよね。
どうやって、何を繋いでたっけ?
ここのボリュームを下げるにはどこを下げるんだっけ・・・。
そんな状況から脱出しようと、ステレオディストリビューターの『ART MX225』を導入しました。
ART独自の低ノイズ設計でクリアな音質はもちろん、複数のパワーアンプを使用する環境にぴったりな以下の特徴があります。
そんな『ART MX225』について、特徴や使用方法、実際の使用感についてレビューしていきます。
ART MX 225
目次
ART MX225の特徴・スペック
MX225はARTが製造しているステレオディストリビューターです。
特徴や仕様をまとめるとこんな感じ。
入力端子はXLRですバランス端子でノイズが少ない設計になっています。
ゾーンごとにわかりやすいLEDインジケーターもついています。
また、ステレオ・モノラルの切り替えもゾーンごとに可能です。
1Uサイズで約2.3kgとコンパクトで軽量なステレオディストリビューターですが、2系統の入力と5つのゾーン出力に対応しています。
また、出力ゾーンごとに入力のバランス調整やステレオモノラルの切り替えが可能など、柔軟な対応が可能なところが気に入っています。
MX225のメリット・いいところ
ここからは、実際に『MX225』を使ってみて感じたメリット・いいところを4つ紹介します。
低ノイズ設計で高音質
ART社独自の回路設計で低ノイズです。
僕自身、MX225を導入する前は、(少々無理やりな繋ぎ方ですが、)パワーアンプのブリッジ接続をしたり、パワーアンプ1台で4つのスピーカーを繋いだりしていました。
フォンジャックを分配したりしていたので、ボリュームを上げるとザーッとノイズがしていました。
MX225を導入してからは、そういったノイズは無くなりました。
MX225の仕様にもありますが、ミキサーからの音をそのまま分配することができます。
つまみのクリック感がいい
MX225の各ゾーンのつまみは適度なクリック感があってわかりやすいです。
今、どれくらい回したかが簡単に把握することができます。
1Uサイズのコンパクトさ
ART MX225は、1Uサイズのラックマウントデザインで、非常にコンパクトです。
このため、設置が容易でスペースを節約できます。さらに、軽量設計なので、持ち運びも簡単です。
2入力に対応している
MX225の大きなメリットの一つは、2つの入力に対応していることです。
さらに、ゾーンごとにそれぞれのボリューム調整ができます。
複数の音源を同時に扱う際に非常に便利ですね。
例えば、2つの異なるミキサーを使用している場合、各ミキサーからの信号をART MX225に接続することで、複数の音源を簡単に管理できます。
5つのゾーン出力
5つのゾーンに音声を分配し、各ゾーンごとに適切な音量調整ができるため、異なるエリアや用途に応じた音響環境を簡単に設定できます。
具体的な状況を挙げながら解説します。
ライブイベントの場合
ミキサーを複数運用している環境の場合を考えてみましょう。
- ミキサー1: ボーカルやスピーチ用のマイクを接続
- ミキサー2: 楽器用のマイクやライン出力を接続
この場合、ステージ近くのスピーカーからは楽器用のミキサーからの出力を下げておく、一方で、ステージから遠いスピーカーは楽器の出力を上げておく。
こうすることで会場のどこでもバランスの取れた状態にすることができます。
MX225のデメリット・気になるところ
MX225のデメリットというか、気になるところですが、以下の2点。
- 端子どうしの間隔が狭い
- 裏面から見た時にRIGHTとLEFTが見た目と逆
詳しく解説します。
XLR接続端子の間隔が狭い
1Uサイズなので仕方ありませんが、端子の間隔が狭いです。
僕みたいに手が大きい人だと、順番に挿さないといけませんね。
1回接続すればなかなか抜くことはないと思いますので、あまり気にしていませんが、1番から順番に挿した方がいいと思います。
RIGHTとLEFTの差し口が見た目と逆
意外と困るのが、裏面の接続端子の並びです。
裏面に向かって右側がLEFT、左側がRIGHTと表示されています。
よく逆に挿してしまうので気をつけましょう。
ART MX225を使ってみて
ここからは、『ART MX225』を使ってみた感想を共有したいと思います。
まずは、どのようにMX225を使用しているかを解説します。
MX225の使用方法
僕は、以下のような感じでMX225を使用しています。
- YAMAHA 01v96のメインアウトプットからClassic Pro CEQ231FLに接続
- CEQ231FLからART MX225に接続
- MX225からパワーアンプ2台に接続
ちょっと前までは、MX225からオーディオインターフェースにも繋いだり、2台のミキサーからMX225に繋いだりしていました。
MX225の2入力5出力があれば、どのような機材構成でも柔軟に対応できますね。
2入力が便利
今は、1入力しか使っていませんが、ちょっと前までは、2つのミキサーからMX225に接続していました。
これが意外と便利で、パワーアンプごとに入力のバランスが取ることができます。
例えば、以下のような構成のとき。
- ミキサー1:ボーカルとスピーチ用のマイクを集約したミキサー
- ミキサー2:楽器類を集約したミキサー
この時、ステージ近くでは、楽器のアンプからも音が聞こえているので、ミキサーから出力する音量は抑える方がいい場合があります。
一方で、ステージから遠い位置では楽器の音がスピーカーからしっかりと聞こえた方がいいですよね。
MX225ならゾーンごとにボリュームやバランスを調整できるので、適切なバランスで音量を調整することができます。
また、パワーアンプだけでなく、オーディオインターフェースも繋ぐ場合にも効果的です。
ミキサーからの出力がパワーアンプ基準に合わせると、オーディオインターフェースには大きすぎると言ったような状況でもMX225を使えば適切なバランスで入力することができます。
会場全体の音量のバランスが取りやすい
MX225の最大のメリットはパワーアンプやオーディオインターフェースなど、複数のオーディオ機器同士を最適な音量で繋ぐことができることです。
また、スピーカーの位置ごとに最適なバランス(例えば、マイクと楽器など)を保つことができます。
MX225を使えば、会場の位置ごとに音量バランスの最適化を行えるので、会場全体の音質向上をすることができます。
MX225とMX882 V2の競合製品との比較
『ART MX225』と同等の機能を持つ『Behringer MX882 V2』との比較を表にまとめて紹介します。
Behringer MX882 V2はラインミキサーとしてもスプリッターとしても使える万能な機材です。
今回は、MX225と同様のスプリッターとしての機能を比較します。
製品名 | MX225 | MX 882 V2 |
入力端子 | バランスXLR入力 x 2 | バランスXLR入力 x 2 |
出力端子 | バランスXLR出力 x 10 | Main out:XLR 出力 x 2 1~4ch:XLRが1つずつ 5~6ch:フォンジャックが1つずつ |
ゾーン数 | ステレオ/モノラル:5ゾーン | Main outからステレオ出力 1~6chにモノラル出力 合計8ゾーン |
周波数特性 | 20Hz〜100kHz | 10Hz~130kHz、+/-3dB |
SN比 | >90dB typical | >95dBu(22Hz~22kHz、アンウェイト) |
THD | < 0.05% typical | 0.003%、4dBu、ユニティゲイン |
価格(2024.5現在) | ¥36,800- | ¥16,800- |
音質面も大きな違いはなく、価格差2万円ほどです。
モノラルでいいから8ゾーン欲しいっていう方には『MX882 V2』がおすすめです。
ART MX225のレビューまとめ
今回は、ARTのステレオディストリビューター『MX225』をレビューしました。
複数のオーディオ機器を運用している環境なら、このMX225を導入するだけで、音量管理がすっきりとシンプルにできます。
特に、2入力のバランスをゾーンごとに取れるのがメリットだと思います。
今までは、パワーアンプのブリッジ接続や、ミキサーのいろんなアウトプットを使ってごまかしながら運用していたPAが、すっきりと集約できるようになり、それぞれのミキサーやパワーアンプが本来の性能を発揮できるようになったと感じます。
地域や野外のイベントでも大活躍の1台なので、ぜひ導入してみてください。