『キーン』とか『ブォーン』みたいなハウリングをどうにかしたい・・・。
ハウリングって耳障りだし、嫌ですよね。
その度にミキサーの調整をするのも大変・・・。
でも音量は小さくしたくない。
グラフィックイコライザーで調整するのも難しい・・・。
ハウリング対策にはいくつか方法がありますが、今回はフィードバックサプレッサーの『AFS224』を紹介します。
原因の究明→ミキサーとかの操作→EQの調整→ハウリングの確認・・・。
面倒な手順を全部やってくれるので、音響が安定します。
ハウリングが抑制されるので、スピーカーから出力する音量を大きくすることができますよ。
僕の場合は、こんな感じで、ボーカル用のモニター返しの直前に入れています。
本記事では、僕が『AFS224』を実際に使用した経験から、使用感についてレビューします。
dbx AFS224
目次
AFS224の概要と仕様
AFS224はハウリング(フィードバック)を自動的に検知し、効果的に除去するフィードバックサプレッサーです。
この機器では、dbx独自のAFS(Advanced Feedback Suppression)アルゴリズムを活用しています。
AFS224はハウリングが発生する周波数を自動的に特定し、その部分だけ音をカットすることでハウリングを抑制します。
AFS224のいいところ・メリット
AFS224を使ってみて感じたいいところ・メリットを解説していきます。
『ハウリング対策』が自動でできることから得られるメリットがたくさんあります。
- 『自動で』ハウリング対策してくれる
- マイクのGainが稼げる=マイク本来の性能が活かせる
- フィルターの数や種類が豊富でどんな状況にも対応できる
- フィルターの自動解除で音質が向上する
- XLRにもフォン(TRS)にも対応している
自動でハウリング対策してくれる
自動でハウリングを抑制してくれるっていいですよね。
『何がハウリングしているのかを調べる→イコライザーを調整する→音量を下げたりする→・・・。』
とりあえず音量を下げちゃったりしてしまうと、聞こえなくなったり・・・
AFS224を使えば、『原因の究明から対策まで』を自動でやってくれるので最高です。
AFS224にはライブモードと固定モードの2種類のモードがあります。
ライブモードでは、演奏中に起こるハウリングの抑制ができます。固定モードでは事前に発生することが予測できるハウリングを抑制できます。
固定フィルターで事前の対策も可能
固定フィルターを使うと事前にもハウリング対策ができます。
例えば、バウンダリーマイクは床や壁に設置されるため、特定の周波数でのハウリングが起きやすい場合があります。
固定フィルターで、事前にその周波数帯域を指定しておくことで、マイクが常に安定した状態で使用できます。
ですので、固定モードを利用すると事前にハウリング対策ができます。
ハウリングへの反応速度も速い
AFS224はハウリングへの反応速度も速いです。
ハウリングの『キーン』や『ボーン』という音が鳴り始めたくらいで反応します。
『キィーン』くらいで『キィ』くらいで反応してくれることが多いです。
マイクのゲイン(Gain)が稼げる=マイク本来の性能が活かせる
AFS224を使うとハウリングを抑制してくれるので、マイクのゲイン(Gain)を大きく取ることができます。
Gainを大きくとると以下のメリットがあります。
マイクのGainを大きくすると、音声の繊細なニュアンスや特に低音をしっかりと取ることができます。
また、バウンダリーマイクなどの設置型マイクでは遠くの音も拾えるようになります。
このように、AFS224を使うとマイクのGainを最適なレベルで設定することができるので、音響のクオリティを上げることができます。
フィルターの数や種類が豊富でどんな状況にも対応できる
AFS224には4種類のフィルターモードがあります。
それぞれ、どれくらいの幅でフィルターをかけるのかを設定できます。
フィルタータイプ | フィルターの幅 |
---|---|
speech | 1/5 オクターブ |
MUSIC LOW | 1/10 オクターブ |
MUSIC MED | 1/20 オクターブ |
MUSIC HIGH | 1/80 オクターブ |
僕は基本的にmusic HIGHを使っています。
ハウリングが発生してフィルターがかかってもほとんど音質の変化が感じられないくらいにピンポイントでハウリングを除去してくれます。
フィルターの自動解除で音質が向上する
とは、言いつつフィルターの数が多くなれば違和感を感じる場合もあります。
AFS224では、一定時間使っていないフィルターを自動で解除することで音質を向上することができます。
フィルター自動解除の時間(なし、1分、10分、60分)もこちらで設定できるので便利です。
XLRにもフォン(TRS)にも対応している
PA機器を繋ぐときに意外と便利なのが、XLRとフォンの両方に対応していること。
余計な変換器をがいらないのでトラブルや不具合も発生しにくいですよね。
AFS224では、XLRとTRSフォンに対応しているだけでなく、+4dbuと-10dbVに切り替えて使用することができます。
AFS224の気になるところ・デメリット
AFS224の気になるところですが、とにかく設定が難しいところです。
AFS224のセッティングは7手順ほどあります。さらに固定モードを利用する場合、実際に音を出してハウリングを起こす必要があります。
AFS224の設定方法
セットアップモードに入る
チャンネル1のMODEボタンを長押しして、FILTER LED が左から右に点灯するのを確認する
次にチャンネル 1 MODE ボタンから手を離すと、セットアップモードに入 ります。
セットアップモードに入ると、MODE ボタンが黄色く点灯します
フィルターの総数を設定する
最大24個あるフィルターを何個使うのかを設定します。(チャンネル内で点灯しているLEDの数がフィルター総数)
総数を増やす→LIVE FILTER LISTボタン
総数を減らす→TYPEボタン
僕の場合は24個全てを総数としています。
固定フィルターの数を設定する
MODE ボタンを押してがLEDを緑色にする。
チャンネル内で点灯しているLEDの数が有効になっている固定フィルターの総数です。
僕の場合は固定モードとライブモードを半分ずつにしたり、全部ライブフィルターで使ったりとその時々で変えています。
セットアップモードを解除する
チャンネル1のMODEボタンを押してLED が左から右に点灯するのを確認できたら、 モード変更は完了
固定モードの周波数を登録をする
実際に音を出しつつ、固定モードのフィルターを設定しましょう。
該当するチャンネル MODE ボタンを押し、緑色に点灯させる
該当チャネルの TYPE ボタンを押し、フィルターの種類を選択してください。
ハウリングが発生するまで、ゆっくりとボリュームを上げていくと固定フィルターが設定されます。
ライブモードへ切り替え
MODE ボタンを押し、ボタンが赤く点灯させる
フィルタータイプと自動解除機能の設定
固定モードと同様にフィルターの種類や自動解除するまでの時間を設定します。
AFS224の設定は慣れれば簡単
とここまで7ステップありましたが、ライブモードだけを使いつつ、フィルターの自動解除時間を60分に設定しておくだけでもいい感じにハウリング対策できます。
(個人的に半固定モードと呼んでいます・・・。)
AFS224の競合製品
AFS224は販売終了していて、中古でしか入手できません。
AFS224の後継機種として、『AFS2』が販売されていますが8万円くらいとお高めです。
そこで、低価格帯ながら十分に使えるフィードバックサプレッサーを2つ紹介します。
BHERINGER FBQ1000
フィードバックサプレッサーを低価格で使いたいなら『BHERINGER FBQ1000』がおすすめです。
こちらも中古が中心ですが、3万円くらいから使うことができます。
『フィードバックサプレッサーを試してみたい・・・』と思う方におすすめです。
BHERINGER FBQ2496
『BHERINGER FBQ2496』は、ハウリング対策だけでなく、システムの全体的な音質調整やルームコレクションなど、多彩なオーディオ処理機能を持つオーディオプロセッサーです。
フィードバックサプレッサーとしてハウリング対策をするだけでなく、マルチバンドEQを備えているので音質の調整も行えます。
また、PANICボタンが特徴的で、レビューにも『とりあえず押しとけばなんとかなる』とも書いてあるくらい初心者にも使いやすい製品になっています。
AFS224や後継機種のAFS2よりも低価格なのでワンランクアップした音響やPA環境を整備するためにはおすすめの製品です。
AFS224のレビューまとめ
今回は、『AFS224』を使って感じたメリット・デメリットを紹介しました。
設定が難しいところはありますが、自動でハウリング対策してくれるので間違いなく買ってよかったと思います。
僕の場合、ボーカル用の返しモニターに組み込んでいますが、ハウリングを気にせずボリュームも確保できて好評をいただいています。
PAや音響設備の構築をする上で、ハウリング対策に悩んでいるなら、フィードバックサプレッサーを使いましょう。
ハウリングにはフィードバックサプレッサーを使おう
本記事で紹介した『AFS224』や後継機種の『AFS2』などフィードバックサプレッサーを使えばハウリングのトラブルからおさらばできます。
『ハウリングにはフィードバックサプレッサー』
『FBQ2496』などの低価格帯の製品もあるので、気になった方はぜひ、チェックしてみてください。